借地人様からのご相談です。
先日、地主が突然不動産会社へ代わってしまって困っているというご相談を受けました。
具体的には地主から借地人に対して「借地権を地主に売却する」又は、「底地を購入して欲しい」の2択を迫られており、仕事中に何回も電話があって仕事に支障が出てしまっているので、どうにかして欲しいとのことでした。
不動産会社が購入した底地は、大きな道路に面している一団の土地で、相続税路線価でも比較的に高い地域です。今回ご相談をいただいた方以外は、既に借地権を売却済み、又は借地権に住み続けるという選択をされていらっしゃるとのことでした。
今回は、基本的には底地を購入したいと考えているのですが、自分たちが考えているよりも高い金額を提示されているため、購入することに踏み込めておりません。このような場合の対処法をいくつか記載しました。
① 底地を購入する
今回ご相談いただいている方の考え方に間違いはないと思います。というのは、借地人が底地を購入することができる機会というのは、実際はほとんどありません。地主の貴重な収入源となっておりますし、「貸地」というのはエアコンやトイレが壊れることもないので修繕費用なども一切かかりません。よって地主は、相続税の支払いなどで手元のお金がない時に売却を検討します。
不動産会社から底地の購入を勧められた際は、まずは千載一遇のチャンスだと思って底地購入を具体的に検討するのもよいことだと思います。金額については市場で取引されている価格の底地割合(30%~40%)で提示されるので高いかもしれませんが、積極的に価格交渉をされてもよいと思います。購入の際は現金ではなく、融資もご利用いただくことができるので、地元の信金などにご相談されてはいかがでしょうか。
② 借地権を売却する
借地権を売却するというのも選択肢に入れてはいかがでしょうか。借地権を単独で売却しても借地人としてはがっかりするような金額にしかなりません。借地権を高く売却できるのは、底地もセットにして「所有権」としてでないと難しいです。借地人の方や不動産仲介会社の営業マンの多くで、借地権割合で市場価格の60~70%で借地権を売却できると思われている方もおりますが、実際はほとんど成約しません。
価格が安い大きな理由の1つとして、売却を検討している借地人が所有している建物は、一般的に築年数が数十年経過しており金融機関の融資を使用することが非常に難しいためです。土地は地主の所有物なので担保を付けることができず、耐用年数が既に経過済みの建物には融資ができません。よって、買主となるのは資金力のある不動産会社か地主になります。
③ 等価交換を提案する
等価交換というのは、借地と底地の一部をそれぞれ「たすき掛け」のように交換して、借地人と地主でそれぞれ所有権の土地を所有する方法です。
土地の面積や接道している間口、その土地の最低敷地面積など詳細の調査や測量が必要になってきますが、所有権の土地を取得することができる方法の一つです。現在使用している建物の一部を解体撤去して、地主に引渡す部分は更地にしなければならないので、解体や測量、また土地を分筆する費用等、諸々の諸経費がかかってきます。
④ 借地権に住み続ける
借地借家法というのは建物所有を目的とする借地人を保護するための法律ですので、借地人は建物が存在する限り基本的には住み続けることができます。ただし、現実的に地主が不動産会社に代わってしまった場合は、その土地に借地人として平穏に住み続けることは難しくなってきます。
「借地借家法第1条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。」
地代の値上げや更新が近い場合は高額の更新料、建替承諾料などが今後提示されてくる可能性があることは否定できません。
まとめ
対処法としては上記の4つになりますが、いずれにしても借地人の方が直接地主の不動産会社(プロ)と交渉していくのは難しいと思います。
地主が不動産会社となってしまった場合は、ご自身で対処しようとせずに当社のように借地権を専門的に取り扱っている会社へまずはお問合せしていただくことをお勧めします。また、当社は最初のご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問合せください。