借地人からの相談 

借地非訟事件とは

 借地権で非訟事件にできる内容は限られています。抵当権設定承諾や更新については非訟事件とすることはできません。

建替えしたいのですが、承諾してもらえません

 借地人からの問い合わせです。借地人が建替えをしようと地主に相談をしたところ、建替えについて断られてしまいました。地主は建替え及び修繕についても認めず、建物はそのままの状態で住み続けてくださいと言われてしまいました。老朽化しているので、建替えか大きな修繕をしないと住み続けることが困難です。どうしたらよいのでしょうか。

回答

 どうしても承諾しない場合は借地非訟事件にするしかありません。まず非訟事件とは、「訴訟にあらず」という意味です。訴訟とは「その権利があるのかないのか」ということを争う裁判の手続きで、借地非訟事件とは、「借地権が存在することを前提に、裁判所が借地人に対して各種の承諾をする」というものです。

 借地非訟事件で取り扱える種類は、裁判所のホームページにも記載がありますが、「借地権条件変更申立事件」「増改築許可申立事件」「更新後の建物再築許可申立事件(旧借地法の適用なし)」「土地の賃借権譲渡又は転貸の許可申立事件」「競売又は公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件」に限られています。よって、問い合わせがありました建替えの許可は取扱いがありますので、借地非訟事件として手続きが可能です。

 ただし、上記手続きから借地人が裁判所から承諾を得られるまで時間がかかるため、次の更新まで最低3年間くらいの余裕が欲しいところです。合わせて建替えをするために融資を利用する場合は、金融機関によっては、地主からの抵当権設定承諾が必要になることもありますので、気を付けなければなりません。

 結論としては借地非訟事件として裁判所にて手続きが可能ですが、借地人は「多大な費用と時間をかけてまでそこに住み続けたいのか」ということを検討したうえで、進んでいくべきです。場合によっては地主への買戻しを視野に入れて、他の場所に住み替えるということも選択肢に入れた方がよいと思います。

まとめ

 借地非訟事件になるということは、地主と借地人の関係性がこじれているということですので、借地人は売却をして地主との関係を断つということも選択肢に入れるべきだと思います。どうしてもそこに住み続けることを決断した場合は、資金や期間について計画を練って進めていくしかありませんので、その際は弁護士のご紹介等のご協力をさせていただきます。

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