以前旧借地法の借地契約書の再作成を希望していた借地人からのご質問の1つです。
借地契約書には、更新料の支払いについて記載がなく、地主からも請求がなかったので、今まで更新料の支払いはしませんでした。何か問題はあるのでしょうか。ということでした。下記は、その方との一部やり取りについてです。
1 更新料は支払わないといけないのでしょうか。
→支払う必要はありません。
更新料支払いというのは、借地借家法・民法には規定されておらず、地主と借地人の約束事のようなものです。約束してなければ、支払いをする必要はありません。ただし、東京都内での借地では、借地人に対して、慣習によって更新料の支払いを認めた裁判例は存在します。
2 更新料とは何ですか
→地代の補充(地代が安いため)や円満な更新手続きというのが一般的だと思われます。
3 更新料の相場はどのようにして決まるのか
→更新料というのは、上記の地代の補充や円満な更新手続きという意味合いですので、地主の考えによって様々です。今回の借地契約書の再作成ということでしたら、更地価格の3~5%というのを目安とするのはいかがでしょうか。更地価格の基準は公示地価を目安にすると公平性が保たれると思います。更地の坪単価は300万円ですので、約10坪の借地ということになりますと、300万円×3%×10坪=90万円となります。今回の借地契約書には更地価格の3%と記載することをおすすめします。
4 更新料の記載は入れなければいけないのか
→入れる必要はありません。ただ、今回の借地契約書再作成の目的が、将来に渡って円満に借地契約を継続していきたいということですので、地主に対して借地人側から提案したら喜ばれるのではないでしょうか。
また、今の地主との関係が良くないので、地代の値上げなど圧力がかかってくる可能性があります。借地の売却、底地の買取り、建物建替えの相談をしやすい環境を作っていくことも重要だと思います。
5 更新拒絶されることはあるのでしょうか
→嫌がらせとしてされる可能性はありますが、正当事由が必要ですので、現在のところは心配ないと思います。
正当事由は、地主がその土地(借地権の土地)を使用する必要性が高く、借地人が使用する必要性が低いという場合に認められる可能性があります。今回は一部店舗として使用されており、地主が使用する必要性もない為、更新拒絶は認められません。
以上となります。
更新料は借地人と地主で揉める原因の一つでもあります。円満な借地権継続を目指すのであれば、相場に沿った更新料の支払いなどをされることも必要になってくると思います。更新料支払いの特約がなく、地主から更新時に更新料の支払いを請求された際には、借地人は地主と真摯に話し合い、支払い可能な額を提示することが、今後の借地権の処分をしやすくするポイントでもあるのではないかと思います。
今後も借地権で悩まれる方のお力になっていきたいと思います。