これだけは知っておきたい用語集

借地権 

建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権(借地借家法第2条1)


借地借家法および旧法借地権の借地

建物所有を目的とし、借地人が土地使用料として相当の対価(地代)を支払って賃借している土地


借地権設定者 

地主(借地権を借地人のために設定している)


借地権者 

借地人


旧借地法(旧法の借地権) 

平成4年8月1日より前に契約した借地権。借地契約を解除しない限り、旧借地法が継続される。現在の借地権は、旧借地法上の借地権が多い。


借地借家法(新法の借地権) 

平成4年8月1日以降に新たに設定した借地権。堅固建物・非堅固建物の区別がなく、定期借地権も含まれる。


使用貸借(民法第593条) 

当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
親子間の土地や建物の賃借は使用貸借に該当することが多い。借主(子)の負担が固定資産税(必要経費のみ)の場合は、借地権の適用はない。


借地面積 

地主が借地人に貸している土地の借地契約書上の面積。実測面積と借地面積では相違することもある。


実測面積 

土地家屋調査士が、対象不動産に接する近隣の方や行政の立ち合いを経て測った面積。


地代 

借地人が地主に対して支払う土地の使用料のこと。


借地期間 

借地権が存続する期間のこと。旧借地法と借地借家法では更新後の期間に違いがある。

旧法借地権の借地期間と更新後の期間
〈非堅固建物(木造等)の場合〉
当初30年又は20年、その後20年ごとの更新。
(イメージ)最初30年→20年→20年

〈堅固建物(重量鉄骨・鉄筋コンクリート造)の場合〉
当初30年から60年、その後30年ごとの更新。
(イメージ)最初30年→30年→30年

借地借家法(新法借地権)の借地期間と更新後の期間
旧借地法のような堅固・非堅固建物の区別なし。
当初30年→1回目の更新20年→2回目以降の更新10年
契約で上記期間より長くすることも可能です。


 更新料 

借地期間満了の時に借地人が地主に支払う対価。


 固定資産税路線価 

市町村長が固定資産税を課税するための、道路に面した宅地の1㎡あたりの単価のこと。


 相続税路線価 

国税庁が公表する相続税を課税するための、道路に面した宅地の1㎡あたりの単価のこと。相続税路線価にのみ借地権割合が記載されている。


 公示地価 

国土交通省が毎年3月に公表するその年の1月1日の評価額。土地取引の目安の価格として使われておりますが、実際に取引をされる実勢価格と価格差が大きいこともある。


 増改築禁止特約(借地借家法第17条) 

借地契約書上の特約の1つで、借地権者が建物を建替えする場合には、地主の承諾が必要となるというもの。借地人は地主に承諾をしてもらう対価として、建替承諾料を支払う。


借地非訟事件 

借地権が存在するという前提で、裁判所が地主に代わって借地人に対して承諾をする手続きのこと。借地権の譲渡・転貸・条件変更(例として、非堅固建物を堅固建物へ建替え)・増改築等の承諾に限られる。更新や地代の増減については取扱いなし。


 建物買取請求権(借地借家法第13条)

借地期間が満了して、更新しない場合に借地人は、地主に対して建物の買取を請求することができるというもの。


 地主の先買権(介入権)

借地権譲渡・転貸の許可の借地非訟手続き中に地主が申し立てる、地主が優先して借地権を買い戻すことができる権利。借地人の借地非訟手続きに対抗するもの。地主が買い受ける金額は裁判所が決定する。


 物納劣後財産

相続税の支払いのために物納する財産。ただし、使用収益等に制限があるものが多く、一般的に現金化するのが難しく、相続税法施行令第19条に掲載されている財産のこと。底地や所有権以外の権利(地上権、永小作権、地役権など)が付いている土地などが含まれている。現金等での支払いができなくなった時に物納が認められることがある財産。


 借地権者の地位に変更がない旨の申出

借地権者以外の親族等が借地権の目的となっている土地(底地)を取得し、借地権者と取得者との間で地代の支払いが行われないが、借地権者としての地位は継続する場合に「借地権者の地位に変更がない旨の申出」を管轄の税務署に申出をする。この申出がないと、借地権はなくなり、使用貸借とみなされて、底地購入者に対して借地権が贈与されたものとして、贈与税が課税される可能性がある。


 借地権の使用貸借であることの確認書

借地権者からその借地権の目的となっている土地の全部を使用貸借により借り受ける場合に、管轄の税務署に提出する書類。例えば、借地権者の父親が借りている土地に、息子が息子名義の建物を建てて、息子が借地権の使用料を負担しない場合などが該当します。この書類を提出しなければ、贈与税が課される場合があります。


借地権の相続

借地権を相続した借地人は、名義変更料などを支払う必要はなく、被相続人が死亡したときから、借地人としての権利義務を承継することになる。借地契約書の変更なども必須ではないが、地主に対して報告はしておくべきである。


 土地の無償返還に関する届け出

個人が所有する土地を、その個人が保有する資産管理法人などへ貸す場合に、管轄の税務署に対し、「将来的に土地を無償で返還する」と通告し、借主である法人への権利金の認定課税を避けることができる届出。所得税、相続税対策として用いられる。地主である個人は、固定資産税の2~3倍程度の地代の収入となるため納税負担が軽減され、また、相続時に貸宅地として評価されるため、相続税の節税にもなる。賃貸借契約書には、無償返還についての文言を入れる。


 地代借賃増減請求事件の調停の前置

地主と借地人間で地代の値上げ又は値下げ交渉がまとまらなかった場合、訴訟の前に調停を行わなければいけないこと。訴訟をする前に、裁判所で話し合いをしなければならないという趣旨。


 地代の供託

地代を供託は、地主が地代の受領を拒んだときか、地主が亡くなって相続人等が不明の場合に、借地人がすることができます。地代値上げ交渉で、借地人は地主から言われた金額を支払いたくないとのことで即供託するということはできず、地主に持参して拒絶されるか、予め拒絶されている場合は、地主に通知して地代の受領を催告することが必要です。供託することで地代の支払いは継続しているとみなされます。


【定期借地権】

〈定期借地権の種類〉
・一般定期借地権(借地借家法第22条)
期間は50年以上で、居住用と事業用の区別はない。更新がなく、特約で建物の取り壊しを借地人負担とすることができる。定期借地権付マンション、一戸建てはこの一般定期借地権が利用されている。

・事業用定期借地権(借地借家法第23条)
事業用定期借地権は事業用の目的のみで認められており、更新がなく、居住用では使用することができない。公正証書での契約が定められている。期間によって2種類の事業用定期借地権がある。2種類については下記。

①借地期間30年以上50年未満(借地借家法第23条第1項)
期間満了時の建物の取り壊しは、特約で定めることになる。契約書に建物取壊しの特約をしないと、特約を要求できない。

②借地期間10年以上30年未満(借地借家法第23条第2項)
期間満了時の建物の取り壊しは、特約することなく、返還時に借地人が取壊しをして更地にしなければならない。

・建物譲渡特約付定期借地権(借地借家法第24条)
借地期間が30年以上の借地契約に使用可能で、居住用の普通借地権・定期借地権、及び事業用定期借地権(法第23条第1項)に使用することができる借地権で、借地契約が30年以上経過した時に地主が建物を買取ることにより借地契約を終了させることができるもの。借地権の設定時に所有権移転請求権仮登記をしなければならない。

 

〈定期借地権設定時の設定対価支払い〉
①地代前払い方式
借地権者が借地権設定者(地主)に対して、地代の全部、または一部を定期借地権契約する際に支払う方式。ただし、借地権が期間の途中で解約された場合は返還しなければならない。地代は不動産所得として所得税の課税対象になるが、最初に数十年分の地代を受領しても、毎年1年間分の地代ごとに課税される。

②権利金支払い方式
借地権者が借地権設定者(地主)に対して、定期借地権契約をする際に権利金を支払う方式。借地権者が中途解約しても返金する義務はないが、受領時に全額について課税をされてしまうが、企業に欠損金がある場合は権利金で相殺することができる。金額は借地権割合による。借地権割合は、都心部になるほど高く、郊外は低い傾向があるため、都心部の方が地主に支払う権利金は高くなる。

③保証金支払い方式
借地権者が借地権設定者(地主)に対して、定期借地権契約をする際に保証金を支払う方式。権利金との大きな違いは、定期借地権終了時に地主から借地権者に返還しなければならない債務であるということ。長期債務のため所得税として課税されないが、運用方法や金額によっては課税される。戸建定期借地事業では保証金支払い方式が適用されることが多い。

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