相続関連

相続登記の義務化について

先日、不動産協会の研修にて相続登記の義務化についてのお話がありました。

相続登記が義務化される背景は、災害時の復旧等において大きな妨げとなるから

令和5年1月1日に能登半島地震があったように、日本では、いつどこで大きな災害が起きてもおかしくありません。災害が起きてしまうことは致し方ないことではあると思いますが、防災、復旧は迅速に行わなければならないと考えられております。当然災害が起きた際の被害が大きいのは人命が一番ですが、次に不動産です。その不動産が損壊したままであると地震の際の余震や大雨、強風等で二次災害が起きやすくなります。迅速に撤去等をしなければ、他の方にも大きな被害や迷惑がかかる可能性があります。

不動産は個人の財産です。財産権というのは、日本国憲法において保障されておりますので、行政が「ちょっとその建物が復旧に邪魔だから壊してしまえ」というわけにはいきません。その建物の持主がわかれば、行政は連絡を取って説明をすることはできますが、持主がわからないと復旧も防災もできなくなってしまいます。

そのような背景から所有者と連絡がつきやすくするために、「登記」の重要性が見直されており、相続登記の義務化が決定されました。

日本の所有者不明土地の割合

26% (令和5年国交省調査 左記の内訳は、原因は相続登記の未了が62%、住所変更登記等の未了が32%)となっております。ちなみに令和4年は24%でしたので年々所有者不明土地の割合は増えていくと思われます。

ではいつまでに相続登記をすればいいのか

不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が必要です。簡単に言うと、親が亡くなってから3年以内です。令和6年4月1日以前に相続が発生していた場合は、令和9年3月末までに相続登記申請をしなければなりませんので、焦る必要は全くありませんが、2回以上相続が発生している場合は他の相続人への連絡や戸籍を集めたりするのに時間がかかりますので、今からでも始められた方が良いかもしれません。

相続登記を期日までに申請しない場合は?

正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する。ただし、申請登記義務違反の事実を把握しても直ちに裁判所への通知(過料通知)は行わず、予め申請義務を負う者に対して催告を実施します。催告に応じて相続登記を申請した場合は、過料通知は行われません。

※正当な理由とは①数次相続が発生して相続人が極めて多数、かつ相続人の把握等に多大な時間を要する②遺言の有効性が争いとなっている③重病である④DV等の被害者である等についての個別事情を登記官へ説明しなければなりません。

まとめ

相続登記申請は今までは義務化されていなかったので、申請しなくても不利益を被ることはなかったのですが、売却や贈与等の処分をする際には、相続登記が完了していないと処分できません。また、相続登記をせず、そのまま放置しておいても問題の先送りをしているだけで、数次相続が発生して相続人が極めて多数になった場合に争いが起こる原因にもなります。この機会に相続登記を進めることをお勧めいたします。

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