地代は、地主と借地人で取り決めますが、値上げ・又は値下げを要求する場合は、しっかりとした根拠を示して提示しなければ、トラブルとなります。
地代の値上げをしたい
地主から問い合わせがありました。地主が、借地権の更新と同時に地代の値上げ(25,000円→40,000円)を借地人に伝えたところ、借地人は更新はしたいが、地代の値上げについては断ると言われてしまいました。地主は、昨今の固定資産税等や物価の上昇から値上げを強く希望しており、借地人が地代の値上げに応じないのであれば、これ以上借地契約を継続したくないと言っております。
地代の基準とは
地代の値上げを希望する場合は、具体的にどれくらい固定資産税が上がったのか、また物価であれば、何年前に比べてどれくらい上がっているのか明示した方が伝わりやすいです。ただし、今回の値上げに応じないからといって、借地権の解除をすることは難しいです。地代の適正額という決まりはありませんが、地代の算定方法はいくつかあります。一般的な目安は、非堅固建物(木造建物等)の地代は、固定遺産税額の3倍~5倍と言われております。
① スライド法(適正地代=従来の地代×変動率)
従来地代の決定後に生じた経済的な変動率を乗じた額を新地代とする方法。変動率は、消費者物価指数や、固定資産税の元となる固定資産税等路線価の変動率等となります。
② 利回り法(地代=基礎価格×適正利回り+必要経費)
土地の基礎価格や適正利回りを決めるには、不動産鑑定士にご依頼いただくのがよろしいでしょう。
③ 賃貸事例比較法
近隣の地代の事例を収集して適切な事例から、必要に応じて補正して新地代を求める方法。
お問合せいただいた地主の現在の地代は固定資産税の2.5倍程度でしたので、値上げする余地はあるとは思います。また、地代の値上げについては、具体的な資料や根拠となる計算方法を示して借地人に対して説明をすることが必要です。
地代の値上げをするタイミング
借地権の更新や借地権売却の時が地代の値上げがしやすいタイミングです。ただ、現行の地代があまりにも安い場合は、適宜借地人に対して値上げを提案しても良いと思います。ただし、地主の地代の値上幅をすぐに了承する借地人も少ないため、お互いに歩み寄って決めていくことが大切です。普段からのコミュニケーションをしっかりと取っていかれることをお勧めします。