今回は、なぜ地代や家賃が安いのかということについてです。「借地借家法の適用の有無と土地・建物の明渡をめぐる100の重要裁判例 弁護士 宮崎裕二著」を読んでいる中で感じたことです。
不動産の価格は上昇しているのに、家賃や地代が上がらない理由
不動産の価格は上昇し、物価も上昇しているのに、なぜか家賃や地代は上がらない。私も収益不動産を保有しておりこのギャップに悩まされております。ご相談を受ける地主様も地代が異常に安く、なかなか値上げに踏み切れず困っております。その背景としては、「地代家賃統制令」が影響しているのではないのでしょうか。
地代家賃統制令とは
過去に実施されていた日本の勅令で、地代と家賃の額の値上げを統制し、国民生活を安定しようとするものであった。地代家賃統制令は3回にわたって制定されており、最初の2回は1939年(昭和14年)と1940年(昭和15年)にいずれも国家総動員法に基づく勅令として制定された。戦後の占領下では1946年(昭和21年)にポツダム勅令として制定され、これは平和条約発効後も法律としての効力を継続したが、改正で統制の対象が縮小され、1960年代に入ると廃止が提案されるようになり、最終的に1986年(昭和61年)12月31日まで効力を有していた。※上記はWikipeiaより引用
家賃や地代を上げづらい状況を作ってしまった
このように敗戦直後のインフレ時に生活の基盤である「家」を確保するために、地主や大家に対して国が制限をかけていたという過去があります。しかも割と最近までこの制度があったというのはとても驚きです。戦後50年近くこの制度があったために家賃交渉ができなかったという土壌が出来上がってしまいました。私たちはこのような土壌から、日本は円安などの影響で物価が上がってきたにも関わらず、家賃や地代は上げられないということがDNAレベルで「常識」になってしまったのではないのでしょうか。
当社が取り扱っている「地代」についても、住宅用であれば固定資産税の3~5倍などとはよく言われておりますが、基準があるわけではありません。家賃や地代についても時代や状況に応じた値上げを検討しても良いのではないのでしょうか。
地代や家賃の値上げをする時期になってきているのではないのでしょうか。
現在の日本は、株価も上昇し「失われた30年」が終わろうとしている中で、インフレ気味になってきていると感じております。その中で、地主も大家も大半は一般個人であるため、物価上昇によって苦しんでいる方は多くいらっしゃいます。借地と借家はバックグラウンドは違いますが、そろそろ値上げをしてもいい時期に入ってきていると思います。国が後押しすることはないでしょうから、自分達で知恵を絞ってやっていくしかありません。もし、そのようなことをお考えでしたら当社に一度ご相談ください。