地主が認知症などで意思能力がない場合は、借地人に対して譲渡承諾なども成年後見人がやらなければなりません。速やかに成年後見制度を利用することをおすすめします。
借地人から借地権の売却をしたいので譲渡承諾をして欲しいと言われています。
地主の親族からのお問合せで、借地人から借地権の売却をしたいので、譲渡承諾をして欲しいと言われています。借地人に対して、地主が施設に入っており認知症であるため少し待ってほしい旨を伝えたところ、借地人は買主が決まっているので早期の承諾を希望しております。借地人は、承諾ができないようであれば、借地非訟手続きをしますとも言っております。どのように対応したらよいのでしょうか。
地主が認知症であれば、成年後見制度を利用する以外ありません。
地主の資産の処分等の決定について、自身で判断できないようであれば、譲渡承諾書や借地契約書の記名・押印についても成年後見人が手続きを行わなければなりません。成年後見制度の手続きは家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が成年後見人を選任することになります。成年後見人は、親族、または弁護士や司法書士が選任されます。借地人が借地非訟手続きをしてきた場合でも、成年後見人の選任は必須ですので、ご準備いただきたいと思います。
借地人の方に対しては、「これから成年後見人を選任するのでそれまで待って欲しい」とお伝えいただくしかありません。今回は、地主の自己居住用の不動産を売却するわけではないため、家庭裁判所の許可も不要ですので、成年後見人さえ選任されれば譲渡承諾することができます。借地人の方に状況等についてよくご説明をしていただくとよろしいかと思います。借地人との打ち合わせで何かお困りでしたらご相談ください。
地主に意思能力があるうちに、後見制度についてご確認いただくとよいでしょう。
地主でも借地人でも認知症などで意思能力がなくなってしまった場合は、速やかに成年後見人を選任してもらうことをお勧めします。借地権は地主と借地人との個別契約ですので、打ち合わせ内容が多く、複雑です。後見制度には任意後見もあります。これは予め後見人を決めておく制度でご本人の意思も予め伝えることができますので、ご利用してみてはいかがでしょうか。
※任意後見制度とは
ひとりで決められるうちに、認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされています。https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/optional_guardianship/#p02 →厚生労働省HP