借地権を売却するときには、まず地主と打ち合わせをしなければならないのですが、その時に地主が押印することを嫌がるのが「抵当権設定承諾」です。売却に必要な書類は、「譲渡承諾書」「建替え承諾書」「抵当権設定承諾書」が必要となってきますが、この「抵当権設定承諾書」が一番のハードルで、第三者へ売却できるかどうかのポイントとなってきます。ある金融機関の抵当権設定承諾書の記載内容をお伝えさせていただきます。
①借地権の存在
地主は、借地人に対して土地を貸与していることに相違はなく、これに基づき借地人が本件土地上に建築している建物に抵当権を設定することに異議はありません。
借地権は存在しており、借地人は住宅ローン等を利用するので抵当権を設定しますという内容です。
②借地権の継続
地主は、将来借地人が、抵当権が設定されている建物を第三者へ売却したり、贈与・相続・抵当権の実行によって第三者が所有者となった場合でもその取得者に引き続き土地を賃貸します。
地主は、借地人が第三者へ変わったとしても、とにかくそのまま貸し続けることを承認しますとの内容です。売却・贈与・相続・抵当権の実行は法律上では全く別物ではありますが、一括りで記載がされておりました。
③借地人の債務不履行があっても借地権を継続
借地人が地代の支払いを遅滞したり、その他法定の約定違反によって借地権の解除事由が発生した場合であっても、借地権を解除することはできません。地主は、解除事由が発生したら金融機関へ通知し、地代は金融機関が立替え払いすることを認めます。
この内容を地主は一番嫌がります。なぜかというと、地主からすると借地権契約を解除することで土地が戻ってくる千載一遇のチャンスがなくなるようなものだからです。また、地主から借地人の債務不履行について金融機関へ通知しなければならないというもので、手間しかかからないものへ署名・押印は基本的にはしたがりません。
まとめ
抵当権設定承諾は、このように地主に対して不利な条項が記載されており、また押印は実印、印鑑証明書添付ですから嫌がるのも無理ないです。特に③は、金融機関からしたら必要事項ですが、地主からしたら負担のみで、何のメリットもない約定となりますので、当社のような仲介者にとっても一番のハードルになります。このように借地権の売却をするときには、地主との交渉が多岐にわたってくるので、借地権に精通したパートナー選びが重要となってきます。